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長年、エンジニアリングとオペレーションの現場でキャリアを積んできた中で気づいたことがあります。製造業における最良の解決策や洞察は、机の上で生まれるものではないということです。
それは、ものづくりの現場――生産が実際に行われている「場所」から生まれます。

若手エンジニアとしての初期の頃、私は現場で多くの時間を過ごしました。そこで出会ったオペレーター、メンテナンステクニシャン、製造エンジニアの方々から、現場の息づかいを通して多くを学びました。その経験が、今日の自分のリーダーシップのあり方を形づくっています。

製造業におけるリーダーシップとは、会議室で方針を決めるだけではありません。現場に足を運び、実際の仕事を見て、課題を理解し、日々働く人々とつながる。それが真のリーダーシップだと考えます。エンジニアとしての原点が影響しているのかもしれませんが、私は課題の本質に迫るためには、現場に赴き、プロセスや品質を担う人たちと直接向き合うことでこそ、真の解決策が見えてくると信じています。

画像1: 製造業におけるハンズオン・リーダーシップの価値とは

だからこそ私は、「ハンズオン・リーダーシップ(現場に立つリーダーシップ)」を強く支持しています。それは、製品が生まれる場所で、人と顔を合わせ、対話を重ねること。タウンホールミーティングや工場訪問、あるいは現場での何気ない会話――形はさまざまですが、どれも私にとって貴重な学びの機会です。実際に現場を歩き、そこで働く人の声を聞くことで、報告書や数字だけでは見えない実情や気づきを得ることができます。

こうした現場主義の姿勢は、経営層だけでなく、あらゆる部門にとっても価値があります。
たとえば購買部門は、在庫判断がオペレーションに与える影響をより深く理解できますし、カスタマーサービス部門は、遅延の要因や品質管理の重要性をより具体的に把握できます。
現場を「見る」こと、「理解する」ことから、真のイノベーションは生まれるのです。

日本の製造業には「現場(げんば)」という言葉があります。これは「真実(real)がある場所」という意味で、本当の理解は、その現場=“the real place”に行かなければ得られない、という考え方です。この哲学は、リーダーシップや継続的改善の根幹にも通じます。
マッキンゼー社のアリソン・ジェンキンス氏は、製造業のリーダーシップを進化させるうえで重要なのは、「答えを示すよりも、問いを立てること」だと述べています。問題の根本原因を探らずに対処療法で済ませると、同じ課題は再び現れます。
オフィスでパワーポイントを見ているだけでは、根本原因にたどり着くことは難しいのです。

現場に出たときに「どう関わるか」も同様に重要です。現場に立つことと「マイクロマネジメント」は違います。Forbes誌の寄稿者スコット・アルパジアン氏が指摘するように、効果的なリーダーは現場に関わり続けながらも、チームが自律的に動けるよう信頼して任せます。
過度な介入は創造性を奪い、信頼の文化を築くことができません。
一方で、チームの自立性を尊重することで、信頼を生み、イノベーションを促す土壌になります。

そして何よりも大切なのは、「人」そのものです。
現場での対話は、単に楽しいだけでなく、誠実に、頻繁に行うことでこそ力を発揮します。それは「人を尊重する」という基本的な価値を体現する行動でもあります。理念やウェブサイトで語るだけでなく、実際に行動で示すこと。それが本当の意味での「人を尊重する」ということです。
組織のあらゆる階層の人と会い、耳を傾け、学ぶ。その積み重ねが、強い組織をつくると信じています。

画像: 工場で働く従業員を対象に実施したセッション。現場を訪れ、人と向き合いながら、経営の考えや安全への想いを共有しました。

工場で働く従業員を対象に実施したセッション。現場を訪れ、人と向き合いながら、経営の考えや安全への想いを共有しました。

だからこそ私は、経営層からエンジニア、サポート部門に至るまで、すべての人に「オフィスを出て、現場を歩く時間」を持つことを勧めたいと思います。実際の仕事を見て、人と話し、小さな改善の種を見つけてみてください。

人を尊重し、現場から学び、継続的に改善を重ねる――
その先に、より持続的で革新的な成長が待っています。そしてその過程を、仲間とともに楽しんでいけたら、これほどすばらしいことはありません。

出典

画像2: 製造業におけるハンズオン・リーダーシップの価値とは

ジョン・ランドール
株式会社 日立産機システム 取締役社長 兼 CEO
前 日立グローバルエアパワー President & CEO

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