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見えない温室効果ガスである代替フロンに挑む日立産機システム。当社は、空気圧縮機を中心とした空圧システムを提供しており、その周辺機器として「冷凍式ドライヤー」をラインアップしています。このドライヤーには、圧縮空気中の水分を除去するために冷媒が使用されています。
今回、当社は業界で初めて※¹、冷凍式ドライヤーに使用されている冷媒を回収し、再利用する仕組みを導入しました。これにより、製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現をめざします。
この取り組みは、当社が推進する「5R」の一つであるReuse(再利用)を体現するものです。限りある資源を有効活用し、温室効果ガス排出削減に貢献していきます。

フロンから代替フロンへ ― 規制の歴史と新たな課題

フロンはかつて冷蔵庫や空調、産業機器に広く使われ、安定した性能と扱いやすさから「夢の化学物質」と呼ばれていました。しかしその後、オゾン層を破壊することが判明し、1987年のモントリオール議定書によって段階的に規制が始まりました。代替として普及したのが、オゾン層を破壊しないHFC(代替フロン)です。
一方で、HFCは温室効果が非常に高く、二酸化炭素の数百〜数千倍に相当する温室効果係数(GWP)を持ちます。例えばHFC-R407CはCO₂の1,620倍、HFC-R410AはCO₂の1,920倍という数値が報告されています。
普段は目に見えない存在ですが、廃棄や漏えいによって放出されると、地球温暖化を大きく加速させます。
このため2016年には「キガリ改正」によりHFCも国際的な削減対象とされ、世界的に管理と削減が進められています。いまや「オゾン層を守る」から「気候変動を抑える」へと、冷媒を取り巻く課題は次のステージに入りました。

日立産機システムの挑戦 ― 冷媒の循環を実現

こうした背景のもと、日立産機システムは空気圧縮機業界で初めて、冷媒を回収・再生し再利用する仕組みを導入しました。従来は廃棄時に冷媒を破壊処理し、新たに製造された冷媒を充填するのが一般的でしたが、この方法では製造や処理の過程で大量のCO₂が排出されてしまいます。

今回の新しい仕組みでは、古い空圧システムの冷凍式ドライヤーから冷媒を回収し、専門業者によって高純度に精製。その冷媒を再利用することで、廃棄も新規製造も不要となります。この循環モデルを採用することで、従来の破壊処理と比べて温室効果ガス排出量を約86%削減できます。この取り組みによって、CO₂換算で年間約19トンの温室効果ガス削減が見込まれています。これは、成木スギ約1,360本が1年間に吸収する量に相当します。

画像: 日立産機システムの挑戦 ― 冷媒の循環を実現

協業によるエコシステム

こうした連携は、日立産機システムで資源を無駄なく使い続ける「循環型エコシステム」の先駆けともいえます。
この仕組みは単独では成り立ちません。冷媒の回収を担うパートナーと、再生を担う専門業者との協業によって初めて可能になりました。回収された冷媒は再生設備で精製され、再利用可能な資源としてよみがえります。

画像: 協業によるエコシステム

5Rの中での位置づけ

今回の冷媒再利用は、日立産機システムが推進する5R(Remanufacture, Rebuild, Repair, Reuse, Recycle)のうち「Reuse(リユース:再利用)」に位置づけられます。冷媒という“見えない排出源”に対応することで、5Rが単なる理念ではなく、具体的な行動として具現化していることを示す取り組みです。

日立産機システムは、冷媒の再利用に限らず、空気圧縮機やその主要部品を分解・選別し、新品同等の性能の状態まで再製造することで、製造する部品数を削減し、お客さまへの製品の安定供給と、循環型社会の実現に寄与しています。

詳しくは 日立産機システムの環境活動(公式サイト)をご覧ください。

画像: 5Rの中での位置づけ

未来への展望

冷媒再利用の仕組みは、単なる環境施策ではなく、循環型社会を支える新たなインフラです。空気圧縮機は製造業をはじめ、あらゆる産業の動力源として欠かせない存在であり、そこからの排出削減は社会全体に波及する可能性を持っています。
今後は冷媒循環のモデルをさらに拡大し、業界全体に広げていくとともに、他の分野の機器や地域での展開も視野に入れています。世界的に進むネットゼロの動きの中で、日本発の先駆けとなることをめざしています。

結び

産業を支える企業として、今回ご紹介した冷媒の再利用は、日立産機システムが推進する5Rの取り組みの一例にすぎません。
私たちは製品のライフサイクル全体で環境価値を創出し、持続可能な未来を拓いていきます。
そしてこの挑戦は、未来を生きる世代のために欠かせない一歩です。ともに見えない課題と向き合い、より良い社会を次世代へ引き継いでいきましょう。

※¹ 日本国内の空気圧縮機業界。日本産業機械工業会会員企業を対象とした当社調べ

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