日立産機システムの取締役社長 兼 CEOとして持続可能な社会をめざし、経営を担ってきた竹内康浩の視点をご紹介します。
世界の温室効果ガス排出量の約3分の1は産業部門から発生している※1、ということをご存じでしょうか。この排出は、化石燃料をエネルギー源として燃焼させることや、私たちの日常生活に欠かせない製品を製造する際に原材料を加工するプロセスで発生しています。
日立産機システムは、このような環境課題、そしてそれに対して担うべき責務を強く認識しています。産業部門における製品やそのソリューションはこれまで環境問題の一因となってきました。しかし私たちはこの状況を変え、解決策を導き出していかなければなりません。

サステナビリティの推進は私のリーダーシップの軸として根付いており、それは数年前から変わることはありません。この考えを推進しようとした当時は多くの人が懐疑的であり、またサステナブルな製品の市場需要はほとんどありませんでした。私がこの方向性を提案した当初は、真っ向から否定されることも少なくありませんでしたが、それでも私は信念を貫いてきました。極端な、異常ともいえる気象現象が地域社会に与える深刻な影響を目の当たりにし、私の娘を含めた未来の世代のためにも、きちんと行動しなければならない、と強く感じていたからです。
今日、状況は大きく変わりました。世界中で異常気象が頻発する中、サステナビリティへの関心は急速に高まっています。Bain & Companyによる調査では、消費者はサステナブルな製品や環境負荷の低い製品に平均12%多く支払う意向を示しており、消費者の半数が「サステナビリティ」を購買基準の上位4つの要素のうちの1つに挙げています。
こうした背景のもと、日立産機システムは積み上げてきた技術によって、エネルギー効率の高い製品を開発し、提供しています。例えば、アモルファス変圧器は待機電力(無負荷損失)を削減することで、エネルギー消費とCO₂排出の削減に貢献しています。また、Sullairブランドで展開しているTS260 2段スクリュー圧縮機は製鉄業や自動車製造業などで使用され、業界最高クラス※2の効率性を実現し、温室効果ガス排出の抑制に寄与しています。
そして、私たちは単に新しい製品を開発しているだけではありません。「5R」―Reman/Rebuild(再製造)、Repair(修理)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)―の取り組みを通じて、製品の資源循環と長期使用を促進しています。空気圧縮機のコア部品であるエアエンドのRebuild事業では、1985年の事業開始以降累計約29,000台をRebuildすることにより、新たに部品を製造した場合と比べてCO₂排出量を約57%(約5,500トン)削減することに貢献しています。こうした取り組みは、イノベーションと責務が結びつくことで、測定可能な意義あるインパクトを生み出すことができる、ということを示しています。
また、日立産機システムは、事業運営におけるカーボンニュートラルの実現に向けても具体的な行動を取っています。2025年3月末までに、すべてのグローバル拠点(オフィス・工場)でスコープ1およびスコープ2のカーボンニュートラルを達成※3する見込みです。これは、日立グループ全体の目標である「2030年度までのカーボンニュートラル化」に先行する形となります。
2050年度までには、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル達成をめざしています。この目標を達成することは簡単なことではありませんが、太陽光発電設備や高効率空調システムへの設備投資、一部のサービス車両の電気自動車(EV)への移行、製品へのリサイクル材料の採用、さらにはインクジェットプリンターの梱包プロセスを見直し、環境負荷を最小限に抑える素材の最適化など、多岐にわたる取り組みを進めています。
世界的にエネルギー効率とサステナビリティへの関心が高まる中で、産業部門は主導的な役割を果たしていく必要があります。それは、単なる環境問題にとどまらず、イノベーションと責務を通じた、長期的な価値の創造につながっていくのです。
日立産機システムはこれからも、グリーンな製品、サービスを通して、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。
※1 米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)のデータ
※2 2024年12月時点でのCAGI(CompressedAir and Gas Institute)の第三者認証プログラムに基づく最新の効率データ
※3 SBTi要件に従い、弊社グループのScope1 & 2排出量合計値の95%以上をカバーするバウンダリで算出
竹内 康浩 (Yasuhiro Takeuchi)
株式会社 日立製作所 執行役常務/日立アメリカ社取締役社長 兼 CEO
前株式会社日立産機システム 取締役社長 兼 CEO